- レポート
経営者インタビュー4:株式会社清水屋 代表取締役 清水栄治 氏
4回目の経営者インタビューは、クリーニング店を営む、清水屋の清水栄治社長にお話を伺いました。
御社について 創業年 業務内容 特徴など
設立は昭和35年5月。松山市を中心に、今治市、大洲市、八幡浜市、西予市などでクリーニング事業・コインランドリー事業・服のリフォーム事業・雑貨販売事業を行っています。
従業員の人数構成は?
約200名です。
社長ご自身の簡単な経歴について
幼いころは、子供ながらに自分が会社の後を継ぐことに特に疑問は持っていませんでした。
しかし、中学生になると、自分には後継者以外の選択肢がないことに疑問を感じ始め、バンド活動を始めた高校時代には、後を継がない宣言をして大阪の大学に進学しました。
大学時代には京都、大阪を中心にバンド活動に力を入れるようになりました。
バンドとして、実力を認められるようになってきたこともあり、卒業後もそのままバンド活動を続け、プロとしてやっていこうと心に決めていました。
しかし、父はそのことに猛反対。長男である私に松山へ帰って事業を継いでもらいたいという思いが強かったのだと思います。ただ、当時はその思いを素直に受け入れることは難しく、父と約束をした期日までに結果が出なければ松山へ帰るということにしました。
その後、バンドメンバーの都合で活動の継続が難しいという事態に陥り、約束の期日までに結果を残すことができず、27歳の時に仕方なく松山へ帰ってきました。
しかし、家業を継ぐにしてもこの業界の仕事はあまり理解できていなかったので、1年間は横浜のクリーニング会社に修行に行きました。その後もしばらくは、仕事をいやいややっているような状態でしたが、34歳の時、結婚をきっかけに今の状態では大切なものを守れないと考え、仕事にも前向きに取り組むようになりました。
社長になって取り組んだこと
社長になってからも、父が会長でしたので、父の指示通りにしないと喧嘩になってしまい、周りのスタッフにも迷惑をかけるようなことが多々ありました。
そこで、表面上は父に従うような形を取りながら、今治、松山以外では、自分が思うような店舗展開、新しい取り組みなどに力を入れて来ました。
2015年からは会社のリブランディングとして、会社のホームページやロゴのデザインを変更し、クリーニングの技術向上はもちろんのこと、明るく清潔な職場環境作りやおしゃれな店舗の展開を進めています。また、店頭では、クリーニング業務だけではなく、雑貨や自社ブランド洗剤の販売も始めました。
今後のビジョン
クリーニングの技術では、世界レベルでナンバー1の企業になることを目指しています。
しかし、クリーニング業界は、今までと同じことをやっていたのでは、将来事業が立ち行かなくなる可能性があります。
そのため、今はクリーニング業にこだわらず、快適な生活をトータルに提供できる企業を目指して、様々なことに取り組んでいます。
その代表的なものが自社ブランドの洗剤。開発にあたっては、成分などあらゆる勉強を重ね、健康にも環境にも配慮した、ナチュラルで見た目にもおしゃれな洗剤が誕生しました。また、西日本豪雨の影響で今は休止していますが、大洲の店舗ではカフェコーナーを設け、近所の方たちの「井戸端会議の場所」という憩いの場となることを目指しています。
人材育成について
店頭でお客様と接する社員については、接遇研修や、受付業務のスキル向上研修を行っています。
業界団体で実施している受付業務の資格試験もありますので、その資格を取ることを推奨し、資格取得後も、有資格者の交流会に参加してもらって、人間力の成長もサポートしています。
また、新しい事業も手掛けていますので、そのための勉強会に社員と一緒に参加し、学びや感動を共有するようにしています。
定期的な面談では社員の夢を聞くようにしており、新しい分野に挑戦するときには、その分野の担当は興味のある人に任せるようにしています。そのためか、今まで自信なさげに仕事をしていた人が、突然自分の持っている能力を発揮して活躍をしてくれるというような場面もありました。
採用したい人材
「何か熱中できることがある人」「熱量を持っている人」です。
自分も大阪時代そうだったので、自分なりの思いがあって行動している人が好きということですね。
また、やりたいことがあって熱中できる人は、他のことにも同じように取り組めると思っています。
会社がやろうとしていることと、従業員のやりたいことが重なり、その人の夢が叶うことが理想です。従業員の幸せなくして会社の発展はないと思っています。
インタビューを終えて
初めてお目にかかった清水社長ですが、とてもフレンドリーで、目をキラキラさせながらご自身の熱い思いを語ってくださいました。
「でき上ったものに乗って進むのは好みではない。」ときっぱり。
クリーニング業のイメージを一新するような取り組みを、かなりの熱量を注ぎつつ、楽しみながら進めていらっしゃいます。コインランドリーでの映画自主上映会も考えていらっしゃるとか。私などには全く想像もつかないのですが、どんな状況が繰り広げられるのだろうと楽しみでしかたありません。
クリーニング業の発達の歴史や、洋服を洗う時の仕組み、アパレルメーカーのちょっとした裏話などなど、ここには書ききれないほどのお話をたくさんしていただきました。「100点を狙ってなかなか行動しないのではなく、50~60点を狙ってすぐに行動し、トライ&エラーを繰り返していく。」と熱く語られる清水社長。これからの清水屋さんの挑戦、ますます楽しみで目が離せません。
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