- レポート
経営者インタビュー1:株式会社世起-代表取締役 今村暢秀 氏
経営者インタビュー
記念すべき1回目にご登場いただくのは 株式会社世起の今村暢秀社長です。
御社の従業員について
現在従業員は44人。18歳から70歳まで幅広い
新卒採用は10年くらい続いている
社長ご自身の簡単な経歴について
今村社長は25歳で家業に入る。
製造6年、31歳で工場長、専務を経て、2011年に社長に就任。
ビジョン、経営について(世起HPより)
経営理念は
・私たちは、昔懐かしい日本のお菓子文化を伝承・発展させます。
・私たちは、美味しく食べる楽しみを提供します。
・私たちは、時代の変化に対応し、共に学び成長します。
経営方針
当社は、黒ゴマやきな粉など健康志向に特化したお菓子の製造を行っています。
「昔懐かしい」をキーワードに素朴かつ原材料の味を引き出し、体にいい食材を利用した製品作りで他社との差別化を図っています。また、関東での市場も拡大傾向にあります。
営業部門を増員し強化していきます。試食販売の機会に積極的に参加し消費者や市場のニーズを社員が肌で感じ商品開発につなげていきます。
将来ビジョンと課題
今後は、少子高齢化と人口が減少していくことによって、今まで通りの商品製造では企業は成り立たなくなるでしょう。だからこそ、業界の変化を捉え、変化に 合わせて柔軟に対応したビジョンを共有していくことが必要です。そして、そのビジョンに合わせて全社員一丸となって進めるようにしていくことが大事です。
また、製造業での課題のひとつとして技術継承などの育成が問題視されています。
残念ながら、定年退職者の数と入社する数が退職者のほうが多く、採用が追いつかないというのが現状となってしまっていますので、これを解消するためにも若い人をどんどん採用していきたいと思います。
社員の育成について取り組んできたことは
今村社長が意識したのは、「社員育成の視点で気づいたことについは、その都度対応する」ことと、「すぐに実行する、改善する」を繰り返すことだったそうです。
本格的に社員育成に関わったのは、今村社長が専務になられた頃から。
それまでは、会社の現状を社員にきちんと伝えきれておらず、社員が自分の会社のことを誇りに思えないといった弊害もありました。
また社員が自分の仕事を自分のやり方で行い、それを共有していなかったため、ムダやムリが多方面にあることも、実際に今村さんが自分で行ってみて気が付かれたそうです。
環境整備もその一つ。10年ほど続けていますが、始めたキッカケは、税理士さんの「この事務所、汚いなー」というひと言。自社のことは、毎日見慣れていて分からなくなっていたそうです。この環境整備も、まず小さいことから行って、徐々に広げていきました。始めは毎月1回、土曜日に社員だけで1日かけて掃除をすることからスタートし、現在は毎日20分間!行っていらっしゃるそうです。
現在も、今村社長ご自身が勉強会に率先して参加され、「他社の良いところは、まず真似てみる」ということをされています。
その取り組みの代表的なものをいくつか教えていただきました。
まず「経営計画書の作成」。毎年、会社の方針を共有するための経営計画書を作成し、社員全員に手帳として配布しています。
ブラザー・シスター制は約7年続いている取り組みです。始めは先輩の教える能力についてすり合わせができていませんでした。社長の方針や想いを伝えるのではなく、できないのならば辞めてもいいという感覚で、会社の方針と違った指導を行っていたそうです。
しかしその原因は、ブラザー役、シスター役の社員に対して、人の育成の目的を伝えてなかったからだと気が付き、以降は先輩社員の育成を図るためにも、新しい人が入った時には、何のために採用しているのか、目的をきっちり伝えるようにしました。
他にも、トラブルなどがあれば、当事者を全員集めて、すぐに話し合いをしています。そうすることで、当事者全員で情報共有することを大切にされているそうです。
今後の人材育成ついて教えて下さい
新人の定着率は、上がってきています。作業を覚えるスピードが遅い人でも、1年後には確実に成長している。人の育つ力を感じることが多くなりました。
また、今村社長自身の考え方が、以前とは変わってきており、「人のいいところを見よう」と意識するようにしていらっしゃるそうです。今村社長は、「人の育成については、とにかく根気よくやり続けるしかない」という思いで取り組まれています。
今後に、採用したい人材像は、という質問に「世起のやり方を理解し、一緒に頑張ってくれる人。」というお話をいただきました。
インタビューを終えて
最初この企画を考えた時に思い浮かんだのは、同じ松前町で事業を行っている世起の今村社長でした。
整理整頓され、床もワックスがけされてきれいな事務所で実際にお話を伺って感じたのは、実行力と役割の認識。
良いと思ったことは、取り入れてやってみる。その過程で気づいたことを改良していく。
その実行力と、社長が自分自身も学びつづける姿勢を、従業員も見ているのだと感じました。
ありがとうございました。